舌がヒリヒリ痛いと訴える舌痛症と言う疾患があります。貧血等の原因もあるとは言われてきましたが、多くは原因不明で、精神的問題で片付けられてきました。しかし、最近の研究では唾液分泌の低下等の結果である事がわかってきました。ここでは、某大学の専門の先生から受けた講義についてまとめました。

舌痛症の原因

  1. 微小外傷
  2. 舌粘膜や口腔粘膜の披刺激性の亢進
  3. 粘膜上皮の再生能力の低下
  4. 唾液分泌低下による保湿度の低下
  5. 常用薬の副作用
  6. シェーグレン症候群によるもの
  7. 神経系の異常

口の中の乾燥と大きく関係しているそうです。

舌痛症の特徴

食事時には痛くないが、何もしていない安静時に痛みがある。

痛い部位

  1. 先端や舌の周囲
    微小な歯の出っ張り等が原因になっている場合が多い。
    →研磨や形態修正。
  2. 舌の上面(舌背)
    歯の痕が付くようなぶよぶよした舌になっている。
    →義歯が低かったり舌の運動範囲を狭めるような補綴物。
    →義歯の高さを上げたり、補綴物のやり直し。圧を下げる漢方(五苓散)。
  3. 舌の溝の部分
    真菌(カビ)による場合が多い。
    →フロリードゲル等の抗真菌剤の塗布

治療

  1. 原因薬剤がある場合は、主治医と相談して薬の変更や減量を考える。
  2. 尖った部分が有る場合は研磨する。
  3. 義歯の高さが低いのが原因の場合は再製作。
  4. 出っ張ったブリッジ等が原因の場合は再製作。
  5. シェーグレン症候群の場合は、サリグレン、エボザックの服用。
  6. 漢方薬の服用をしてもらう。(保険適用外)
  7. オーラルウェット等の保湿リンスの使用。
  8. 向精神薬の服用(保険適用外)
  9. 生活習慣の改善  睡眠、飲酒、喫煙など。

※薬剤には、適応症が決められており、舌痛症に適応が認められている薬剤は無い為に健康保険による処方はできないのです。

薬物による治療

西洋薬

口腔乾燥が原因である場合。

サリグレン、エボザック

塩酸セベメリン製剤。唾液腺のムスカリン受容体に作用して唾液分泌を促進する。胃液や汗も出やすくなる。シェーグレン症候群以外にも有効であるが、保険適応がむずかしいです。
この薬はかなり作用が強いので持病等を考慮する必要が有ります。胃潰瘍などの消化性潰瘍等の疾患を憎悪してしまう恐れが有ります。
1日3回、1カプセルずつ服用すると有りますが、作用が強いので1日1カプセルから開始すると良いそうだ。どちらにしても慎重投与だと思います。

和漢薬

「証」を診る必要があるが、目安として。

白虎加人参湯 常用薬剤が原因と思われる時や黒毛舌。
五苓散 舌に歯の痕が付いている様な場合。
十全大補湯 溝状舌や舌乳頭が失われている場合に乳頭を再生させる。
半夏寫心湯 地図状舌。
六君子湯 舌苔過多。

いずれも、3ヶ月から6ヶ月服用する必要あり。やめる場合も、暫減させる。保険適応外です。

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