ネジ留めインプラントとセメント固定インプラント
インプラントがダメになる要因の一つにインプラントの周りに炎症が起こる事があります。インプラントは顎の骨の中に埋まっているので、炎症を起こす場合の多くは歯と同様に、歯に相当する上部構造とインプラントの境目から起こります。つまりその部分が不潔になるとインプラント周囲炎をおこしやすくなります。その不潔になる要因として歯垢以外の原因もあり得るのです。それはあるタイプのいプラントで用いる歯科用のセメントの残留物です。これが異物のなり、その周囲に歯垢が付着してインプラント周囲炎になる場合もあります。
それでは、このセメントが残ってしまい易いインプラントの説明をいたします。
インプラントはインプラント本体(フィクスチャー)と歯に相当する部分(上部構造)に分かれます。つまり根に相当する部分と人工の歯に相当する部分に分かれます。
それをどう繋ぐかの違いです。簡単に言えば、チタン製のネジで留めるのかそれとも、セメントで接着してしまうかです。歯科用語的には、スクリュー固定(スクリューリテイン)・セメント固定(セメントリテイン)と言います。
セメントリテイン(セメント固定)
スクリューリテイン(ネジ固定)
セメント固定は、インプラント周囲炎の大きな原因に
セメント固定の場合は、既成のアバットメントと言うパーツをネジで留めます。それを普通の歯と同じように型を取って、技工所で作ってもらいます。それをセメントでくっつけるのです。多くは、仮のセメントで固定します。この方法はインプラント用の特別な型を採る方法が不要なので、簡単にできます。しかも技工料が安く済みます。
しかし問題なのは、このセメントなのです。インプラントは普通の歯よりも細いのです。その欠点を補償するために、骨のラインと同等に埋め込むのが主流です。つまり、インプラント本体と上部構造の接着部が歯肉の中にあるのです。この上部構造にセメントを入れてインプラント本体に接着した場合、セメントがその部分に流れ込むのです。これを完全に除去する事は不可能です。よってこれがインプラント周囲炎の引き金になってしまう事があるのです。
セメント固定のイメージ
スクリュー固定のインプラントが世界のスタンダードに
現在では、ニューヨーク大学でもミシガン大学でも「極力、セメントは使うな」と教えています。日本においても、スクリュー固定のインプラントがゴールデンスタンダードになってきた事は、近年のインプラント学会の発表を聞いていても明らかです。
前歯の様に、審美的に大事な部分に関しては、セメント固定にせざるを得ない場合もあります。それは、スクリュー固定にした場合は、ネジ穴が歯の前面に来てしまいみっともない場合があるからです。
スクリュー固定の場合は、上部構造をインプラント本体であるフィクスチャーに直接、チタン合金のネジを介して留めてしまいます。よってセメントは一切使いませんので、セメントの残留が原因で起こるインプラント周囲炎には絶対なりません。
ただ、スクリュー固定にした場合は、インプラント特有な型の採り方が必要です。しかも技工所による技工操作も複雑になります。実際には、CAD/CAMの方法でチタンを削り出してもらうか、UCLAアバットメントと言う高価なパーツを用いて鋳造する必要があるのです。よって技工料はセメント固定の何倍にもなってしまうのです。
ネジ固定のイメージ
セメント固定とスクリュー固定では大きな差があるのをご理解いただけたでしょうか。当院のインプラントは極力、このスクリュー固定を採用しております。
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