Q.上顎で骨が薄いときはどうするのですか
A.上顎の奥歯の骨はかなり個人差があります。
上顎の奥歯(大臼歯相当部)の上は上顎洞と言う空洞が存在しています。これは副鼻腔の一つです。その部分に、歯が埋まっている時はそれなりに骨が有ったはずですが、歯を抜いてしまう事により、骨が薄くなってしまう場合が多いです。つまり奥歯の垂直的な骨の厚みが少なくなってしまうのです。実際には骨の高さが1ミリ程度のペラペラになっている人から2センチ以上ある人まで様々です。では、インプラントをするには、どれくらいの骨の厚さが必要なのでしょうか。理想的には8ミリ以上で、出来ることなら1センチほしいです。でも、前述したように、そうでない人も沢山おられます。以前なら、その様な場合はインプラントはできないでした。しかし、色々な骨を作る技術の進歩により、現在では埋められるようになっております。以下に上顎の骨の模式図を示します。(上顎骨を木の箱に例えてあります。)
骨の厚みが無くて充分な維持ができなさそうな場合は、下記のテクニックを用います。
ソケットリフト
上顎の骨が5ミリ以上8ミリ以下程度の場合には、図の様にインプラントを埋めるために開けた穴から人工骨を挿入して骨の幅を増す方法。実際には上顎洞内にまで及ぶ穴を開けるわけではなく、寸止めをし、専用器具を使用して人工骨と共に上方に押し上げます。
この方法の場合、あまりにも薄い骨には適しません。又、術後腫れる事はございません。
ただし、このソケットリフトで上手く行かない場合もあります。その場合には、サイナスリフトを行う必要があります。
上顎の骨が5ミリ以下になった場合に用いる方法。
図の様に、横の骨から窓を開けて、人工骨を入れます。骨の厚みが3ミリ以上でインプラントがしっかり留まりそうな場合は同時にインプラントを埋め込みます。しかし、それ以外の場合は、人工骨を入れるのみとして、半年後にインプラントを埋めます。ただ、この方法は腫れる場合が多いです。
2018年現在では、このサイナスリフトも、横に穴を開ける方法は殆ど行わなくなりました。ソケットリフトの様にインプラントを埋める穴から器具を入れて上顎洞粘膜を挙上する方法を採用しています。これをサイナスリフトのクレスタルアプローチと呼びます。この方法の場合、術後の腫れがほぼ有りません。ただし、インプラントの直径が4ミリ以上でないと器具が入らない為にこの方法は使えません。又、マイクロスコープを併用して行う必要があります。
サイナスリフト実際の画像です。
ピエゾサージェリーと言う強力超音波切削器具により、上の奥歯の上方の骨を削ります。
専用器具で、注意深く、上顎洞内の粘膜を剥離拳上します。破かない様にそーーっと
補填材を填入します。そして、縫合して終了。重要なのは、骨に穴を開ける位置と切開線とはなるべく離すことです。1センチは欲しいです。
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