インプラント(implant)と言う単語を辞書で引いてみると、「はめこむ、移植する」とあります。歯科医療で使われる意味も同じです。歯が無くなってしまったところに、歯に替わる代替物を入れる事や、その移植する物自体を言います。
インプラントは現代の最先端の歯科医療と思われがちですが、古代ローマや、マヤ文明の遺跡からも、真珠や石を顎の骨に埋め込まれた痕跡が発見されています。ただ、その時代のインプラント?は誰にでも行われたものではなく、特別な人のみだった事は言うまでもありません。
さて、現在行われているインプラントの発祥は、1952年にスウェーデンの整形外科医ブローネンマルク先生がウサギの歯に生めたチタン金属が骨と結合するのを発見してからです。その後動物実験を経て、1965年から人間に応用される様になり本格的には1981年に学術発表がなされてから広く歯科界に知られるようになりました。
さて、現在行われているインプラントの発祥は、1952年にスウェーデンの整形外科医ブローネンマルク先生がウサギの歯に生めたチタン金属が骨と結合するのを発見してからです。その後動物実験を経て、1965年から人間に応用される様になり本格的には1981年に学術発表がなされてから広く歯科界に知られるようになりました。
日本では、1980年頃に某大学で開発されたアルミナインプラントが一世を風靡しました。私も、大学を卒業して間もない頃に研修を受けて数人に使いました。ただ、現在のブローネンマルクの流れを汲むチタン製のインプラントとは違って、骨と結合する事は全く無く、更に、隣の歯を削って連結する必要が有りました。当然、ダメになるときは、インプラントと結合した歯も一緒にダメになる事が多く、90年代の半ばまでは、その時の失敗例が多く語られてしまったために、とんでもない異物を埋め込むとの誤解を多くの歯科医師がもっていたのも事実です。そうしている間にも、日本でもチタン製のインプラントの導入が進み、そのチタン製のインプラントをされた患者さん自身が、クチコミやマスコミ等でその良さをを語ってくれた事によりようやく最近その良さが広く一般に認知されるようになってまいりました。
その様な声に押される形で多くの歯科医が最近になって導入に動いており、日本においてはこれからもっと普及して行く治療方法で有ることもいえます。
インプラントに関するFAQ
30年間以上前は人工サファイヤやガラス系、バイタリウムなどと言う金属が有りましたが現在では純チタンかチタン合金の物が殆どです。
チタン合金はロクヨンチタンが使われています。6パーセントのアルミと4パーセントのバナジウムを含んだ物です。純チタンよりも強度が高いです。
形のある物は必ず滅びますので永久にもつとは当然言えません。
しかし当院の統計では10年間持つ確率は95パーセント以上です。
ただこの数字は定期的なチェックを受けている患者様の確率です。
30年以上前はブレードタイプと言う板状のインプラントが有りました。しかし現在ではこのタイプは無くなりました。それに代わり円筒形かネジ状のタイプになりました。
ブレードインプラントは骨が細くても埋められる利点が有りましたが、やはりインプラント自体も細くなってしまいますので早期に折れてしまったりした為に使われなくなりました。もし強度が確保できる生体親和性の高い素材が今後開発されたら、再度脚光を浴びる可能性は有ります。
現在のインプラントはネジ状か円筒形なのでドリルで骨に丸い穴を開けてねじ込みます。
インプラントのドリルは規格化されています。つまり最終ドリルはインプラントの形とほぼ同じになっています。そのため余分に骨を削る様な事は有りません。
骨に接合していると考えて差し支えありません。しかし電子顕微鏡的には結合と言うより噛み込んで居ると言った方が良いです。
チタンは軽くて錆びない特徴があります。
あるメーカーのインプラントの破折は見た事があります。インプラントの首の部分が薄い物でした。現在では、販売されていない様です。
私が使ったインプラントでは一本も折れた経験は有りません。
しかし、インプラントは折れなくても接合部の部分が折れたものが2例ほどあります。ただインプラントは無事ですので、歯に相当する部分(上部構造)を作り替えて、再度使っていただきました。
これは、絶対にありません。細菌はチタンを食べることは出来ません。
近代のインプラントは、米国のリンコー先生の様な先駆者はいらっしゃいますが、チタン製のインプラントは、スウェーデンの整形外科医のブローネンマルク氏により約50年前に始まりました。
歯の成分に近いアパタイトを吹き付けたインプラント。骨に接合しやすいと言うものの、それほどの実感はありません。私は、現在では殆ど使っていません。
昔は材質の違いが有りましたが、現在ではほぼ純チタンかチタン合金。それも医療用のチタンを使っているので、違いはそれほど無いと思います。
一番の問題は、インプラントの太さの選択と、インプラントを埋める位置(ポジション)の方です。つまり術者の腕の方が大きな要因と考えられています。
3ミリ程度から6ミリ程度です。ただ4ミリ以下のインプラントはたわみやすいと言われています。そのため、奥歯に3ミリのインプラントを用いる事はしない方が良いです。一般的には5ミリに近い物が使えると安心です。
20年ほど前は、とにかく長いインプラントを使えと言われてきました。しかし現在では10ミリ。つまり1センチ有れば十分です。
ただし、長いインプラントは不要と言う訳でもありません。前歯の抜歯即時インプラント等の場合は、長いインプラントを使わないと、初期固定と言う「インプラントが骨の中にしっかり留まった状態」を作れない場合があるからです。
日本のメーカーも何社かあります。パイオニアとしてK社があります。
しかし、世界的に見ると日本のメーカーは海外では殆ど使われていません。
コンピューター制御の工作機械で、細長いチタンの鋼材を削り出して作ります。ほぼオートメーションで出来てしまいますので、大量生産が可能な様です。
ちなみにこの工作機器は日本製が多いそうです。
チタンは、化学的に安定ですので、溶けてしまう事はございません。
インプラントが骨と結合するのは、細胞レベルでの事です。よって、1~2パーセントは1回目の手術で骨と結合が得られない場合があります。これはどんなに経験を積んだ歯科医師でも有るのです。それをご了解の下にインプラントの治療を受ける必要があります。
15年前は抜歯をしてインプラントを埋めるのは、狂気の沙汰と思われていました。しかし、現在では、抜歯即時で埋めたのと、抜歯後、骨が出来てからインプラントを埋めるのでは、将来的な予後に差は無いとの研究が発表され、盛んに行われる様になりました。
米国の超有名なインプラントの先生も、以前は外側の骨が無ければ、抜歯即時インプラントはするなと言っていましたが、本年の米国審美歯科学会(2017年8月)では、骨を作る技を加えればOKと変わっていたのが印象的です。 抜歯をして穴が開いている所にインプラントを入れて何故に感染しないかと言えば、インプラントの周囲に取り囲まれる血液の塊の存在があります。これがインプラントを保護してくれるのだと考えられています。
逆に、抜歯をした部分にインプラントを埋めても、血液が周囲に取り囲まなかった場合は感染する事が考えられます。この様な場合は、腕から採血をしてインプラントの周囲に血液を入れておく必要があります。
大きく分けて、インプラントは2つの部分に分かれます。
天然の歯の歯根に相当する部分をフィクスチャーと呼びます。そして、口の中に出ている歯に相当する部分を上部構造と呼びます。
このフィクスチャーと上部構造を接合するのには、ネジ(スクリュー)を使う場合と、歯科用のセメントを使う場合が有ります。どちらが良いかと言えば、圧倒的にスクリューです。セメントを使った場合には、はみ出たセメントが歯肉とインプラントの間に残って、炎症を起こす原因になる事があるからです。
インプラントには、天然歯に有る「歯根膜」と言う構造がありません。
歯根膜は、天然歯を取り囲んだ薄い皮膜です。これはある種のショックアブソーバーとセンサーの役割があります。センサーとしては、これ以上噛むと歯が壊れるので、力を加減しろと知らせる機能です。グッと噛むと、何だか違和感が有ると思います。この違和感で歯を過度な力から守っているのです。
インプラントはどうでしょうか?結果的には、普通の歯と噛んだ感覚は変わらないそうです。そして歯根膜と言うセンサーがないからと言って、インプラントが壊れる事はまずありませんので心配ありません。ただ、歯がなかった所にインプラントが入り、反対側が天然歯だった場合に、噛みすぎて反対側の歯が折れるというような事には気を付けなければなりません。
有りません。
インプラントの位置は通常の歯列矯正の力をかけても不変です。つまり矯正治療により動かす事は絶対に不可能です。
インプラントはチタンと言う金属でできていますが磁力は帯びておりませんので、地場を利用するMRIには影響を与えません。ただし、普通の歯科用の金属が口腔内に入っているのと同様、レントゲン撮影をすると、その歯の周囲はアーチファクトと言う現象が起きて、しっかり見えないことがありますが限定的です。
通常は義歯をひっかける事はしません。
インプラントが横からの強い力を受けるのを嫌うからです。ただ、現実問題、骨や年齢の都合で、インプラントの上部構造(歯に相当する部分)に義歯を引っ掛けた事はあります。ただ、なるべくパカパカと動かないような義歯を作る事が肝要です。この場合はそれほど問題が無い事が多いです。ただし、推奨はしません。
上顎は半年、下顎はその半分と言われています。しかし、もう少し早いと思われます。特に、上顎は半年待たなくても良くなってまいりました。また、インプラントを埋めた時の留まり具合では、その日に仮の上部構造を装着する事も可能になってまいりました。
ただ、審美的な障害がなく噛むのに困らない場合は、仮歯によりインプラントに過度な力が及ばない方が良いので、仮歯を作らない事が多いです。
有ります。 それは下顎の前歯です。ここは骨の厚みが薄い方が多いからです。しかも骨の外側には、舌下動脈又は、オトガイ下動脈と言う、比較的大きな血管が走っているからです。
骨からドリルが貫通しない限りこれらの動脈の損傷は起きません。しかし無理な力をかけた場合等でこの動脈を損傷しますと、当然、出血をします。この部分には隙間が多くあり、血液が溜まって腫れるまで分からない場合があるのです。そして気道を圧迫する様になると呼吸困難に陥ったりします。この様な事は世界中でそれほどの例が有る訳では無く、ごく稀な話です。 ただインプラントの致命的な事故はほぼここの部位で起こっていると言われています。逆にこの部位以外は致命的な事故はほぼ有りません。
私どもでは、ここの部位にインプラントを行う場合には、術前、術中に必ずCTを撮って方向を確認して安全に行っている事は言うまでもありません。
検査の数値によっては、糖尿病の治療を優先して行っていただきます。
その数字はグリコヘモグロビンA1Cです。これは採血前1カ月程度の血糖値の状態を表します。正常値は5.5以下程度です。これが6.5以上は糖尿病とされます。
インプラントを行う場合は7.0以下程度にならないとなりません。その理由は、糖尿病の病状が悪い場合は、細菌感染を起こしてインプラントがダメになり易いからです。
出来ない事は無いですが、インプラントが骨に結合する確率が下がったり、傷の治りが悪かったりします。インプラントを機に禁煙をされた方もいらっしゃいます。
骨粗しょう症の薬の内、ビスフォスフォネート系の薬剤を3年以内服用ならば、3カ月程度以上薬の服用を止めてからならばそれほど問題は無いと考えられています。しかし、3年以上の服用期間が有る場合は未知数です。
この薬剤を長期間服用していた場合に、確率は低いですが骨の壊死が起こってしまうのです。しかも、壊死が起こってしまうと、有効な治療方法が無いのです。
全身の骨密度と、顎骨の骨密度はある程度は比例すると考えられます。
顎骨の骨の密度は、その歯がどうして無くなったのかに大きく関わります。また、慢性炎症を起こしていた歯の周辺は非常に骨が硬くなっていたりします。
インプラントを行うには、骨が硬過ぎず、脆すぎないのが良いのです。
インプラントはチタンで出来ていて、熱伝導性も良いと思われますが、人間が飲めるほどの熱さの飲み物で骨に影響が出たり、熱く感じる事は有りません。
一般的には、インプラント用のドリルをインプラント専用のモーターを使って骨に穴をあけてまいります。また、骨が硬い場合には超音波を利用した骨切削装置を使う場合も有ります。
しっかりしたプランニングを行えばその様な事は有りません。
ただ、一度穴を開けた部分から、数ミリは移動させたりする場合があります。
そんな場合でも骨は完全に再生いたしますので、心配はいりません。
下顎の骨の中には、奥歯を中心にパイプラインが通っています。その名は下歯槽神経管。または下顎管。この中には、神経だけではなく動脈や静脈も通っています。これを損傷しない様にする必要があります。通常はその神経とインプラントは2ミリは離しますが、1ミリでも大丈夫です。
上顎には、下顎の様なパイプラインは有りません。人に依っては、頬の下の骨に後歯槽動脈と言う血管が走っている場合があります。通常のインプラントでは損傷は有りません。しかし「サイナスリフト」と言う頬の下の骨を削る様な処置は、この血管の損傷により難儀する場合があります。
骨がどう足りないかにもよります。
骨の高さが無い場合、骨の幅が足りない場合等です。骨の幅が足りない場合に「骨を作る事」はそれほど難しくは有りません。しかし、骨の高さが足りない場合に「骨を盛り足す」ような骨の造成はかなり難しく、何回かの骨造成が必要な場合もあります。
ダメになります。ただ、それは歯周病を放置したままでインプラント治療を行った場合です。しっかり歯周病を治療した場合には大丈夫です。特に、歯周炎(歯槽膿漏)の治療を受けた方は、インプラント周囲炎になり易いですので、口の中を清潔に保つと共に、メインテナンスが必須となってきます。
自動車の運転と同じで、ある程度は勘が必要な事は言うまでもありません。
しかし、現在ではドリルの位置をバーチャルで表示できる装置が有ります。また、ドリルガイドも作ることができます。CTで撮ったデータと口の中をデジタルでスキャニングしたデーターを重ね合わせて院内の3Dプリンターで作製する事ができます。
麻酔を完全にしますので、痛く有りません。ご心配は無用です。
生理食塩水を噴射しながら削りますので、多くは排水に流出します。以前は排水の前にトラップを付けて骨のかけらを回収してインプラント周囲で骨が足りない部分に足す技術もありました。しかし唾液や周囲の汚れも混入してしまう事が分かり、現在では行っている施設は少ないようです。
ドリルを含め、全ての器具は滅菌をしてありますので清潔です。
超音波の微振動を起こす、ピエゾサージェリーと言う機器を使う場合も有ります。
この機器の特徴は、回転するドリルとは違い、ドリルの様に滑る事は有りません。つまり骨に置いた部分を正確に削る事ができます。ただし、ドリルは骨の硬軟が分かるのに対して、ピエゾサージェリーはその感覚が分かりにくい欠点が有ります。骨の硬軟を知る事はインプラントを埋める上で非常に大切な情報なので、骨が硬い場合のみに使うことが多いです。
また、ピエゾサージェリーは柔らかい粘膜の様な組織に当たったとしても切れることはなく、骨を選択的に削る事ができるので、サイナスリフトと言う上顎洞に骨を造る場合にも使います。
全く同じです。
骨を削るドリルを押し付けすぎたりすると熱が発生して骨に対して作用し、骨火傷を起こします。そのため、その骨火傷を起こさないように生理食塩水を注水したり、高速回転でドリルを使わないようにしています。
あります。それが一番心配な事なのです。
その部分の清掃(ハミガキ)は念入りにする必要が有ります。しかし、口の中には相当な数の細菌が存在しており、インプラントと歯茎の境目にも沢山の細菌が存在しているはずです。
でも、それだからと言って直ぐには感染しません。
言ってみれば、人体の不思議ですね。
ただ、歯茎にも種類が有って、骨に接合している動かない歯茎と、頬っぺの様な動く歯茎が有ります。前者を角化歯肉と言い、後者を歯槽粘膜と言います。インプラントの周囲は圧倒的に角化歯肉があった方が良いとされています。それは、感染しにくいからです。この角化歯肉がない場合は、口の中の他の場所から移植してくる場合も有ります。
インプラント周囲の骨が折れたと言う経験は30年のインプラント経験にも有りません。しかし、他の先生の話として、上顎の骨の薄い部分にインプラントを埋めて、数年後に周囲の骨が折れたと聞いたことが有ります。ただ、これは非常に稀な話だと思います。
この問題は、あと10年から20年するとクローズアップされて来るはずです。
やはり歯磨きを含めて、口の中が汚れてまいりますと、普通の歯が歯槽膿漏になるのと同じでインプラント周囲炎と言う状態になってしまいます。そのため当院では、その様な患者さんに対しては訪問診療を行っています。
インプラントは入れたら終わりではありません。この様なボケた状態になったとしても、メインテナンスをして貰える歯科医院で行うことをお勧めします。
インプラントに使われているチタンは非磁性の金属なので、磁石にくっつきません。
ただ、歯科で磁石が使われている場合が有ります。それは入れ歯の中に磁石を埋め込んである場合です。その磁石が歯に取り付けた鉄板と接合して義歯を外れにくくします。
おそらく溶けません。チタン合金(6ー4チタン)の融点は1600度程度です。火葬炉の温度は800度から1200度です。よって、理論的には溶けません。
最近、残骨灰から金属を抽出して売っている事があるようですが、残骨灰からチタンのインプラントが出てきたからと言ってお金には殆どなりません。
純チタンよりも、機械的強度が高いのがチタン合金です。殆どのインプラントメーカーがこのチタン合金を採用しています。
体内に埋め込んでしまう人工関節の材料も、殆どがチタン合金から出来ておりますので、その安全性はご理解頂けると思います。
困ったことに、インプラントの中に使ってある「ネジ」ですが、メーカーによってバラバラなのです。つまり互換性が無いのです。また、同じメーカーでも改良が加えられて、年代によって使っているネジが違うようになっていたりします。インプラントの太さによりパーツも異なっていたりします。
当院にも、他院で10年以上前に行ったインプラントの上部構造(歯に相当する部分)が外れたり、割れたりして来院される患者さんが数多くいらっしゃいます。その場合、メーカーが分かれば、比較的対応がしやすいです。それでもインプラントと上部構造を接合してあるネジを回さなければならない場合は、かなり大変です。それは、10年以上経過している場合ネジが固まっていて回らなかったり、不測の事態がかなり有るからです。
以前行ったインプラントのメーカー名と太さを確認して来院されるとスムーズです。
普通にして構いません。
フッ素入りの歯磨き材は使用しないほうが良いとの見解も見かけます。
その理由は、インプラント自体が侵食されてインプラント周囲炎になるとの事ですが、それは実験室での話で僅かな量です。
それよりも、フッ素入りの歯磨き材を使った場合は、細菌の酸を作る能力も低下させますので、インプラント周囲炎になるリスクをむしろ低下させると思われます。
ですので、フッ素入りの歯磨き材を使って普通に磨いて結構です。磨き方の要点は、インプラントが歯茎と貫通する部分にプラークの付着が無いように磨きましょう。
某社のツブツブが入っている歯磨き材はインプラントの患者さんや歯周病の患者さんにはお勧めできません。メーカーはあのツブツブは歯垢を掻き出して溶けて無くなると言っていますが、当院で顕微鏡を使って診療をしていると、歯肉と歯の間には溶けないで残っているツブツブが数多く見られます。それが炎症を起こす原因になりかねません。
インプラントにした場合に避けたほうが良い食品はございません。
ただ、インプラントをした後は、食の改善をした方が良いでしょう。
人は歯が無い時は、炭水化物中心の食事をしています。インプラント治療をして食べられるようになったのに、同じような炭水化物中心の食事を続けると、カロリーオーバーになり太ってしまいます。インプラント治療で何でも食べられるようになったら、繊維性の食物も食べるようにしなければなりません。
何でも咬めます。しかし反対側に自分の本来の歯が有り、神経を取ってあり何か被せてあった場合は、そちらが壊れる可能性がありますので、ゆっくり咬む事をお勧めします。
入れ歯はプラスチックの板の上にプラスチック等で作った人工の歯が乗っている構造です。
このプラスチックの板を歯茎の上に乗せて咬むので、とても鬱陶しいのです。
インププラントには、その様な部分は一切有りませんので、鬱陶しさは有りません。
インプラントは入れ歯と違って取り外しが出来ない構造になっています。
取り外しての掃除は不要です。
インプラントは虫歯になることは有りません。
しかし普通の歯が歯槽膿漏になるのと同様に、インプラントの周囲に炎症を起こす事が有ります。それをインプラント周囲炎と言います。口の中が汚れているとなる確率が高くなりますので、口の中を清潔にしておく事が大切です。
お友達は、下の奥歯のインプラントを行ったのだと思います。 下顎の骨の中には、三叉神経の3番目の枝の下顎神経が走行しています。下顎の骨の中にはパイプラインが有り、その中に神経が通っていて、前歯の少し手前で皮膚面に出てまいります。それを誤って、ドリルで傷を付けてしまった場合に麻痺が起こる事が有ります。
現在ではCTが設置されている医院が多いので、この様な事は殆ど無くなりました。しかし、最初から骨の高さが無い人に、骨の造成をしないでインプラントを行ったりした場合に麻痺を生じる可能性が考えられます。 ただ、インプラントの手術で神経を切断をしてしまう事は稀ですので、麻痺を起こしてもインプラントを除去したり、経過観察をする事により回復するケースが多いです。
それは、皮下出血です。
粘膜を切開したりした場合に、小さい血管が切れる事が有ります。
麻酔が効いている間は、血管を収縮させる薬の作用でそれほど出血をしないのですが、麻酔が切れて血管収縮薬の作用も無くなると、塞いだ粘膜の中で出血を起こす事があります。
断言は出来ませんが、放置しておいても紫色から黄土色に変わり正常粘膜色になってまいります。尚、切れた血管は再度修復されますので、何ら問題は有りません。
上顎のインプラントだと思います。
その部分で骨が足りない時に、ソケットリフトと言う上顎洞底の骨を少し叩いて骨を造る手術をする事が有ります。これが耳の方に影響をしていると考えられます。この症状は女性に多いとされています。
でも、ご安心ください。自然治癒します。
当院ではソケットリフトにおいては、骨を叩いて挙げる事はあまりいたしません。
上顎のインプラントで、ソケットリフトやサイナスリフトの後だと思います。
上顎洞の中はシュナイダー膜と言う粘膜で覆われています。これが破れてしまった場合に起こります。鼻血が少しならば、経過観察とします。しかし持続する場合は、レントゲン等を撮って診断をします。あまり酷い場合は、インプラントの撤去も検討いたします。
私は、口腔外科でガンの手術チームにも入っていました。
確かにあの様な首や口の周囲を大きく切って開放する手術の場合は手術室は絶対に必要です。
しかし、インプラントの様な口腔内の狭い場所で行う手術の場合は、手術室は全く不要です。
実際に米国の論文では、手術室とそれ以外で行ったインプラントの予後に差は無いとされています。私が訪れた米国の7つの大学でも、インプラントの手術を通常の歯科の外来歯科用ユニットで行っておりました。
行いません。
新陳代謝が盛んな時期にインプラントの治療は向きません。
おおよそ20歳を超えた年齢が対象になってまいります。私が行った最低年齢は21歳です。その方も現在38歳になり、そのインプラントは問題なく機能しています。
ただ、若年齢の方の場合は、術後長い期間インプラントを使いますので、その管理は老年の方よりも念入りに行ってゆく必要が有ります。
理論的には出来なくはないですが、わざわざ妊娠中にする必要も無いと考えています。
できます。しかし、ご家族の方と話し合って行う必要が有ります。
前歯のインプラントは、見た目の問題、つまり審美性について考慮する必要があります。
特に、笑って歯茎が見える人の場合です。
一般的には歯を抜いてしまうと、歯茎と骨は下がってしまいます。そこにインプラントを入れると、歯が長くなってしまう事が有るからです。そうならない為に抜歯に際して骨を欠かない様な注意をしたり、抜歯即時インプラントを検討したりします。
インプラントは骨の中で全く動きません。しかし、普通の歯は動きます。
信じがたい事ですが、食事をしていると歯同士が擦れて歯の間も摩耗するのです。それに伴い歯は前方に移動します。
奥歯のインプラントの場合、その前方の前歯が摩耗に伴って前方に移動してしまって、隙間ができるのです。そのようなケースでは、インプラントの上部構造を外して調整をする事も有ります。
歯肉が薄いと骨も下がりやすくなってきます。
骨が下がるとどうなるか?インプラント自体、つまりフィクスチャーが見えてくるのです。
奥歯ならそれほど問題ありませんが、前歯の場合、金属色のフィクスチャーが露出すると見た目が悪くなります。それを防止する意味で、歯肉の移植を予めしておく場合があるのです。具体的には、上顎の口蓋と言う部分から結合組織や歯肉を採集してきて歯肉と骨の間に滑り込ませます。
インプラントは板の側面にネジを入れるのと同じです。つまり板の厚みや、板の高さが無い部分にネジを入れる事はできるでしょうか?
板が割れてしまったり、ネジが板から出てしまったりするでしょう。
インプラントの場合も骨を増しておく必要が有るのです。具体的には、骨の素になるような物質(人工骨)を骨のそばに置きます。そして、その上にコラーゲン膜や人工膜を置いて粘膜を閉鎖します。これをGBR(ガイデッド、ボーン リジェネレーション)と呼びます。
簡単そうですが、結構難しく、テクニックが必要となります。
生理食塩水を冷却の水として使用していますので、やや酸っぱいです。
硬い柔らかいは有ります。その分類まで有ります。
硬すぎる骨の場合、血管が少ないのでインプラントが骨に接合しない心配も少し有ります。又、柔らかすぎる場合は、初期固定と言うインプラントが骨の中できちっと留まる事が難しくなり多少、予後に影響を与える事も有ります。
インプラント目掛けて雷が落ちる事はないでしょう。
インプラントの歯周病、それがインプラント周囲炎です。
普通の歯が歯周炎(歯槽膿漏)になるのと同じ様に、インプラントも周囲に炎症を起こしてしまう事が有ります。どのような時に起こるかと言うと、やはり口の中が不潔な場合です。
これは、メインテナンスを定期的に受ける事により予防できます。
滅菌しても使えません。インプラントの周囲に付着したタンパクをとる事ができないからです。 これは倫理的にも認められません。
インプラント周囲炎の可能性が有ります。
インプラントが動くようならインプラントを撤去して治療する必要が有ります。しかし動かない場合はインプラントの周囲を清掃して骨補填材で覆っておくと治癒する事が有ります。
インプラントの歯に相当する部分を上部構造と言います。その上部構造をネジで留めてある、スクリューリテイン構造の場合は、そのネジが緩んで、上部構造がカタついている場合が多いです。この場合は、スクリューの穴からネジを締め直すだけで終了です。
上部構造をセメントで固定してあり、上部構造だけがカタカタする場合はもう少し厄介です。多くは上部構造を削って取り外して内部のネジを締める必要が有ります。そして、再度、上部構造を作り直す必要が有るのです。
患者さん自身がインプラントが動いているのが分かり痛みが有る場合は、大抵はインプラントと骨の結合が失われているケースが多いです。そして、その多くは何らかの原因でインプラントと骨の間に軟組織が侵入しています。
インプラントを撤去して再度埋めなおす必要が有ります。
インプラント周囲の骨が吸収してしまう事により、インプラントのフィクスチャーが露出して来たのだと思います。 こうならない為に、インプラントの前面の骨や歯肉の厚みを増しておく事も有ります。
アメリカではこうなる事を予想して、インプラントの首の部分が歯肉のピンク色をしている製品まで有ります。
歯と歯の間の三角の歯肉を歯間乳頭と呼びます。
この歯間乳頭は老化により失われる場合も有りますが、インプラントにした場合は失われてしまう事も有ります。隣に天然の歯が有れば良いのですが、インプラント同士が隣り合っている場合は、この歯間乳頭を作り出す事が困難な事が有ります。又、この歯間乳頭は、インプラントの隣りの天然の歯の形と骨の位置に相関関係が有ります。
骨が薄いからです。
また、骨の外側の舌側には舌下動脈やオトガイ下動脈が有るので、細心の注意が必要なのです。
インプラントが平行だと上部構造をより作り易いですが、平行で無くても問題有りません。
インプラントは金属ですので、放射線を通しません。白っぽく見えます。
メーカーによってインプラントの形は微妙に異なります。ただ、予想はつきます。しかし確定する事は非常に困難です。 米国のサイトには、どの会社のインプラントなのかを予想してくれるところも有ります。
日本で流通しているインプラントは30社程度だと思います。
海外を含めると100社以上だと言われています。
スウェーデンでは保険診療に入っていると言われています。しかし、そのお陰で、本来、根管治療や歯周治療で残せるはずの自分の歯もインプラントになってしまう、と歯周病の権威が嘆いておりました。
米国でもインプラントは盛んに行われており研究も非常に盛んです。現在ではアメリカが世界をリードしているのは間違い無いと思います。それは、資金が潤沢な事と、日本に比べて生物由来の材料で認可されている物が圧倒的に多いのも理由の一つだと思います。
韓国もバイオマテリアルは多く認められています。
また、欧米の製品に互換性があるインプラント材料が韓国内で多く作られています。
年齢制限はありませんが、成長期には向かないとされています。
当院では20歳を超えてから、としています。
上限はその人の健康状態等によると思います。
インプラントは力をかけても動きません。その性質を利用して歯列矯正に使う事が有ります。しかし、通常のインプラントとは太さも長さも違います。矯正用は細くて短いです。
また、骨に完全に結合してしまうと外せない事もありますので、通常のインプラントと違ってブラスト処理と言う粗面処理はしていません。
日本では矯正用インプラントとか、マイクロインプラントと言われていますが、欧米ではTAD(Temporaly anchor device)と呼ぶのが一般的です。
動かせません。
しかし、逆にその性質を利用する場合もあります。
つまり歯の代わりに埋めたインプラントを利用して普通の歯を引っ張る事があります。
除去の仕方ですが、グラグラな場合はピンセットで外すことができます。しかし、先端部分が骨とがっちりくっ付いていて動かないが炎症がひどい場合は、周囲の骨を削って外す場合があります。ただ、これを行うとインプラントと周囲の骨まで無くなってしまうので、再度のインプラントを埋めるときに困ります。
現在では、インプラントを強制的に逆回転をする器具を使います。しかし、この器具を使う場合、インプラントの真ん中のネジを留めるところにセメント等の異物が入れられていた場合には使えません。
抗がん剤の種類にもよると思いますが、一般的にはインプラント周囲の骨に影響がある場合があるそうです。
バランスの取れた、普通の食事で構いません。
ずばり、メインテナンスに通うことと、自分自身で口の中を綺麗にしておく事です。
オールオン4は全く歯がない人に対して4本のインプラントを土台として上部構造を作る方法です。 4本のうち1本でもダメになると、力の分散が困難になってきます。こうなりますと咬めません。よって、治すにはもう一度上部構造を外して、インプラントを埋め直す必要が有ります。
私はお勧めできる方法では無いと考えています。
ポルトガル発の治療方法ですが、アメリカでは殆ど支持されていません。どこの大学に行っても評価は良くありません。それが日本では何故か行われている事が不思議です。欧米人よりも骨が華奢な日本人の方が結果はもっと悪いと思いますが・・・。
チタンでも、直径が細くなればたわみます。
4ミリ以下のインプラントの場合はたわみが大きく、それもインプラントの首の部分でたわみますので、周囲の骨に影響を与えるのです。つまり骨が下がってしまうのです。
そのため、極力太いインプラントを選択する必要があります。一般的には、奥歯の場合、直径4ミリ以上で長さ10ミリが推奨されます。
以前はショートインプラントはダメと言われていました。しかし現在では、太ければ長さは短くてもOKとされています。具体的には直径6ミリのインプラントで長さが6ミリの物は承認される、と言うことです。
一般的には普通の歯よりは歯石は付着しにくい様です。しかし、歯石の付着する人はいらっしゃいます。この場合は、インプラントに傷を付けにくい、銀製の超音波スケーラーチップを使って歯石の除去をします。
インプラント周囲炎は、普通の歯の歯周炎に相当します。つまり歯槽膿漏と同じ深刻な状態です。
インプラント周囲粘膜炎は、普通の歯の歯肉炎に相当します。つまり歯茎が多少腫れているだけです。この段階なら、ブラッシングで治ります。
インプラント周囲炎はインプラント周囲粘膜炎からなりますので、インプラント周囲粘膜炎にしない事が重要なのです。
インプラントが動く場合は、インプラント自体を除去して、新しいインプラントに変えます。しかしインプラントが動かない場合はインプラント周囲炎が起きている部分を削ったり、薬剤処理をして除菌をします。
インプラント自体が動く場合は、インプラントの撤去以外にありません。 しかし、上部構造が動く場合には、上部構造とフィクスチャー(インプラント自体)を締結しているネジが緩んでいる可能性があります。この時はネジを締めれば上部構造は動かなくなります。
一般的には、インプラントを埋めてから1週間程度は、多少の痛みはあります。
しかし、それ以上の期間痛い場合は、感染や骨火傷を考えてみる必要が有ります。
チタンやチタン合金に対するアレルギーの有る人は僅かながらいらっしゃる様です。
しかし非常に少ないと思われます。
平成25年の資料によると、日本国内で生産や輸入されているインプラントの本数は、年間120万本。全てのインプラントが使われていないにせよ、数十万本が使われていると推計されます。
インプラントの上部構造とは、歯に相当する部分です。フィクスチャーと言う通常の歯の根に相当する部分とでインプラントを構成しています。上部構造は、セメント固定とネジ留めがあります。
以前の上部構造は、金属で作って、そこにポーセレンと言うセラミックを盛って焼いて白っぽくする物が多かったのです。しかし、最近ではジルコニアや二ケイ酸リチウム(イーマックス)で上部構造を作れる様になってきました。ただし、インプラントとの接合部分はチタンの様な金属にしませんと、ジルコニアの様な強い材質でも折れてしまいます。
フィクスチャーとは、インプラント本体部分の事です。普通の歯なら、歯根に相当する部分です。現在では、チタン又はチタン合金で作られています。そして形態は砲弾型か円筒型です。
フィクスチャーと上部構造を留めるのに、ネジ(スクリュー)を使う構造の事を言います。これに対して、セメント(歯科用の接着剤)で留めるのをセメント固定と呼んでいます。
答えは簡単。ネジ留めです。
なぜならば、セメント固定にした場合、余剰セメントの除去が完全には出来ないからです。 この余剰セメントが感染源となり、インプラント周囲炎の原因の一つになるのです。
数多く参加した、米国の研修会でもセメント固定が良いなどとは一回も聞いた事はございません。当然、当院のインプラントはネジ留めです。
ただ、セメント固定の方が簡単に上部構造を作ることが出来るのと、ねじ留め構造の場合は技工所にお支払いする技工料が高いのも原因なのか、日本ではセメント固定が非常に多いのです。
旦那さんのインプラントは上部構造をセメント固定しているから歯の咬む面は真っ白なのです。
奥様のインプラントの咬む面に何か丸い穴のようなものがあるのは、その下にネジ(スクリュー)が格納されているからです。 奥様のインプラントはネジ留めです。奥様の方が、良い構造と思われます。
インプラントを骨に埋めて、インプラントが留まる事です。
この留まり方もトルクレンチやインプラントを埋める器具で、具体的に何ニュートンで埋まっているかを評価します。 上顎前歯は、インプラントの長さや太さにもよりますが、50ニュートンで初期固定が得られていると、インプラントに仮歯を即日取り付ける事が出来ます。
初期固定が得られない場合もあります。
そのため不可欠とは言いません。しかし有った方が良いです。
私は、2年を超すとトラブルはあまり起こりにくくなると考えています。つまり、インプラントが骨に生着しない様なトラブルは2年以内に多く発生すると思います。
しかし、骨を造った様な症例では、もう少し要注意期間が長いです。
2つの原因が考えられます。
1つは、反対側の歯が長年機能していなかったので、急に咬み始めた事による反応。
もう1つはインプラントに入れた上部構造の高さが少し高い場合です。
いずれにしろ1週間程度で収まりますが、収まらない場合は上部構造の高さを調整する必要があります。 インプラントには「歯根膜」と言う普通の歯に有る緩衝装置が有りませんので、このような症状がおこることがあるのです。
多くの歯が欠損しており、それを一度にインプラントでかみ合わせを回復した場合に、頬や舌を咬んでしまう事は良くあります。一度咬んでしまうと、粘膜が出っ張ってしまって、再度咬み易くなる事があります。
入れ歯ならば外しておけば治りますが、インプラントの上部構造は患者さん自身では外すことが出来ません。ですので、インプラントの上部構造を装着してから3週間程度は注意をして咬む必要があるのです。そーっと注意深くです。 この3週間と言う数字は、科学的に意味があるのか分かりませんが、某大学の口腔解剖学の教授から教わった数字です。
もしも、咬んだ傷が大きい場合は、上部構造を除去して様子を見ると思いますが、その様な症例は一度も経験した事がありません。自然に治癒をしています。
インプラントには、インプラントのフィクスチャーを骨のレベルに埋めるボーンレベルインプラントと、粘膜の面に埋めるティッシュレベルのインプラントが有ります。
ボーンレベルのインプラントが寸胴なのに対して、ティッシュレベルは先端から根本に向かってやや開いている構造になります。 このティッシュレベルインプラントの場合は、粘膜からの歯の立ち上がりはインプラントのネック(首)の部分の直径と同じになります。よって普通の歯とインプラントとの間に隙間を生じやすくなります。この場合、食物が挟まりやすくなると言われる事が多いです。
ボーンレベルの場合は、インプラントを深く埋められますので、粘膜を貫通する間に外側に膨らます事ができますので、食物は挟まりにくくなります。しかし、限界は当然あります。インプラントの場合はどうしても普通の歯より、歯肉に接する部分は細くなりますので、物がはさまりやすいのが現状です。
大事なのは、挟まったままにしないで、歯間ブラシ等で綺麗に清掃しておく事です。
サイナスリフトですが、上顎洞と言う空洞が大きく、インプラントを埋める骨の厚さが足りない場合に行われます。上顎骨の外側を削って上顎洞内に骨補填材を入れて骨の厚みを得る方法のラテラル法を用いますと、腫れたり皮下出血を起こす事があります。しかし治りますのでご心配なく。
現在では、ラテラル法よりも侵襲が少ない、クレスタル法を用いる場合があります。
サイナスリフト法は上顎洞内に張り付いているシュナイダー膜と言う構造を上顎洞の骨から剥がす必要が有ります。これを破らないように行う必要が有ります。
このシュナイダー膜の厚みには個人差がかなりあります。これが薄い場合は破れてしまう事が有るのです。少々破れた程度では、コラーゲン膜等で補強する事で問題は起きません。
しかし大幅に破れてしまった場合は、中止をする場合があります。このシュナイダー膜は再生能力が非常に高い組織ですので、1か月から3か月後に再度のサイナスリフトを行います。
ねじ留め構造の上部構造を作る場合は、シリコン印象材と言う材料で型を採る必要があります。
なぜならば、シリコン印象材で無いと、変形が大きすぎるからです。
しかし、現在ではデジタルで型を採れるケースも多くなりました。具体的にはインプラントのフィクスチャーにチタンベースと言うパーツを立てて、それにスキャンボディーと言うマーカーになるキャップを被せて、スキャニング(ビデオ撮り)をします。こうしますと、苦しいシリコン印象を使う必要はありません。
多くはできますが、インプラントが骨に結合しなかったり、脱落するケースがあります。
米国の一番信頼性が高いと言われるシステマティックレビューの文献によると、血糖値がしっかりコントロールされていれば、非糖尿病の人とでは、インプラントが骨と結合するのに差は無いと報告されています。
しかし、私は異論が有ります。医科では糖病病の罹患歴が長い場合に骨代謝に異常が有り、骨折を起こしやすい事は常識になっています。専門的には糖化最終物質の骨への沈着があり、骨芽細胞や破骨細胞の状態が良くないと言われています。それは糖尿病がしっかりコントロールされていなかった期間に依存すると考えられています。
つまり、糖尿病だと言う事を気が付かなかった期間が長かったり、治療をしなくて放置をしていた期間が長い場合には、健常人の骨とは多く異なる場合が多いと考えています。
よって、インプラントを行う場合には、糖尿病の治療歴をお聞きする場合があります。
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