キーワードGEM21 血小板由来成長因子 PDGF

GEM21 Sとは

簡単に言いますと、歯周病で骨が無くなってしまった部分に詰めておくと骨が再生するとされている新歯科材料。エムドゲインにも同様な作用がありますが、エムドゲインは生物材料から作るのに対して、この【GEM21】は100%化学合成されたものです。

詳しい説明

GEM21 Sは2つの物質から成り立っています。

rh PDGF (Platelet-derived Grouth Factor)の液
β-TCP バイオセラミックスの粉
この2つを混ぜて歯周病により骨が欠損してしまった部分に詰め込みます

このGEM21の最も重要な物質はPDGFです。PRP(自分の血液を採血して血小板を濃縮したもの)にもPDGFは入っているそうですが、このGEM21のPDGF量はPRPの1000倍。PRPは骨の治癒や増殖にはあまり関係ないと言われているのに対して、このPDGFは硬組織(骨)と軟組織(粘膜)の両方の治癒に劇的な効果を表すとされています。又、歯のそばに入れた場合、歯根膜繊維芽細胞の走行と増殖を促す作用もあるそうです。つまり歯根膜の再生が行われるとの事。いってみれば、革命的な歯科材料といえましょう。

良い点

生物から作っていないので未知の感染への心配がない。
エムドゲインの様に液状でなく、詰め込む事ができるので、手ごたえがある。
GBRの様に補てん材を入れた後に設置する膜が不要。
根の分岐部の骨吸収にも有効。

問題点

米国では2005年にFDA(アメリカ食品医薬品局)から認可されておりますが、日本では未承認。よって売っていない、つまり保険診療に使うことは不可。
高い。1パック(βTCP 0.5 cc)が、米国価格で約300ドル。日本で並行輸入業者に依頼すると1ドルが100円程度で4万円以上。
米国から個人的に持ち帰ったり、輸入して手に入った場合にでも、使用する場合はすべての治療行為が保険外診療となる可能性がある。又、副作用が出ても、国の救済制度に申請する事は出来ない。
PDGFは温度管理が大事。2℃から8℃で保存する必要がある。もし個人輸入する場合は、冬の一番寒い時以外はまずい。(これは、昨年(2012)にミシガン大学で聞いたところ、現在では温度の問題はないそうです)
βTCP自体は、吸収しやすいものなので、長年の安定性は課題。
歯の周囲にグルッと骨が無い場合は無効。歯の周囲の一部分の骨の欠損に有効。
効果が出るのに半年はかかると思われる。
手術が難しくなる。なぜならば、このGEM21を入れて粘膜を閉じると、入れない場合に比べて、骨面からの血液供給が受けられないために、粘膜が開いてきたりして、GEM21自体が感染する場合が考えられる。(実際に入れてみると、粘膜の縫合が非常に難しくなりる。エムドゲインを使った手術の方が圧倒的に簡単。)

追補 2016年に歯周再生治療用薬剤、リグロスが保険診療で使えるようになってからは、こちらのGEM21も使わなくなりました


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